負を引き受ける
「負を買いなさい。先に負をもてばいいじゃないですか。
誰にだって負はあるんです。
それをちゃんと自分で意識しようじゃないですか。」
——松岡正剛『正負の法則』『負の先払い』について
東京から西表島へ。
西表島から石垣島へ。
西表島までの時間は、ずいぶん恵まれていたと思う。
だから石垣島で、大きな負を払っているのだろうか。
そんなふうに考えることもある。
けれど、人生は帳尻合わせではないのかもしれない。
これは自分の負だ、と静かに引き受けてみる。
消そうとせず、誰かに返そうともせず、抱えたまま歩いてみる。
すると負は、罰ではなく、
これから何を選ぶのかを支える重しになる。
五十を越えて、ようやくそのことを学んでいる。
そして今、「月と波のこと。」を始めている。
すべてが軽くなったからではない。
負を抱えたまま、それでも大切なものを選び始めたのだ。
もしかすると、
これが「負の先払い」なのかもしれない。
避けられないものを引き受けることで、
これからの人生を、少し軽やかに生きるための。